【ブルースリーに殴られた話していい?】
初めに、いままで度肝を抜く求職者に出会ったので、そのモンスターの1人を紹介しよう。
エントリーナンバー①カンフーの使い手
カウンタースタイルのBARのアルバイト募集をネットでしたところ、
独立希望なので修行したいというメッセージの応募。
僕はスタッフ側であるカウンターの内側で求職者を待ち、
お客様側に求職者を座らせて対面で話す準備をしていた。
(面接の座る位置はお客さんの有無など、時間帯によって横並びが対面かが変わる)
求職者が店内に入ってきたので、
手で客席側を指して「こんにちは。どうぞ座りください。」と伝えると、
そのままこちらのスタッフ厨房側へ侵入してきた。
カウンター挟んで椅子のある客席側と、
棒立ちでいる我々スタッフ側。
どうぞお座りくださいの手の指す方向がこちらに見えたのか?
いや、僕は目の前の客席側を確実に指した。
手を正面にまっすぐ指せば、客席側に決まっている。
勘違いのはずがない。
仮にスタッフ側に誘導する場合、このまっすぐ伸ばした腕をへし折ってこちら側を指してこっちへどうぞと誘うことになるがそんな記憶は微塵もないし、腕はへし折れていないし健康そのものだ。
呆然としていると、普通にそのまま厨房側へ入って、
工務店の工事業者さんが、見積もりに来た時のあのテンションですんごい店内の厨房機器を眺めて「うーん」とか言いながら吟味している。
どういうことだ。
いま目の前にいるのは日曜日13時に面接希望の前田さんではなかったのか?
僕が前日の酒が残っていてよった勢いで工事業者にフルリフォームを知らぬ間に依頼してしまっていたのか?
冷蔵庫の扉を開け始め「奥行きはこんなもんか、、、」
とか言い始めてもうキョトンとしてしまった。
冷凍スペースを見て「あちゃー」と狭いなあみたいな反応をし出した。
あれ?僕いまからこいつにバイトの面接じゃなかったっけ?
いま、あちゃー。って言った?言ってないよね?
聞き間違い?
あちょー?
カンフー?
中国拳法の使い手?ブルースリー?
充分に殴られたくらいの衝撃を頂いてるぞ。
あっ、中華料理でバイトしてる子が掛け持ちでこっちの面接に来てますアピール?
てことはもう面接は始まっていて、自己紹介もスタートしている?
というか僕のこと見えてる?
この瓶底メガネくん。ぼく見えてる?
とドン引きしていたらチラッとこっちを見て一言
「ガスコンロはないんですか?」
どういうことだ?
なぜ弊社を志望致しましたか?
くらいのテンションでいま質問されたぞ?
ま、さか
面接は始まっているが、
面接をされているのは僕?
選ぶ側は僕ではなくブルースリーだと言うのか?
僕がアルバイトしやすい厨房環境が整っているかどうかを面接してやるよと言ってるのか?
このブルースリーは、、、
この瓶底メガネの
ガリガリの死ぬほど汚い靴とTシャツのブルースリーが?
BARという業種にまったく似つかわしくないモサさと
不潔さと、接客に必要なコミュニケーションスキルが壊滅的皆無のブルースリーさんに試されているだと、、、、?
さっきからうーんと不満げな様子で厨房を見渡している。
「和食屋で僕働いてるんです。」
和食屋だったーーーーー。
ブルースリーじゃなかったー。
和製だったー。
そしてよく考えたらガスコンロってなんだーーー。
ここはBARだーーーー。
冷蔵庫や冷凍庫や火の設備を求めるなーーーー。
餃子の王将じゃねえんだーーーーー。
「でも大丈夫です。」ニコッ
何がだーーーー。
「ところでいつから働きましょうか?」
「採用の際は後日連絡させて頂きます。本日は有難う御座いました。」
※飲食業の採用される方は少なからずこういうキョトンとする経験はされてると思います。
驚きの体験あればコメントお寄せください。